百人一首 10×10の魔方陣

南東 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 南西
A


我が庵は都の
鹿ぞすむ
を宇治山と
人はいふなり


天の原ふりさけ見れば春日なる
三笠の山に
出でし月かも



おほけなくうき世の民におほふかな
わが立つ杣に
墨染の袖


花さそふあらしの庭の雪ならで
ふりゆくものは
我が身なりけり

田子の浦にうちいでて見れば白妙の
富士の高嶺に
雪はふりつつ



あしひきの山どりの尾のしだり尾の
ながながし夜を
ひとりかもねむ


人も惜し人も恨めしあぢきなく
世を思ふゆゑに
もの思ふ身は


百敷や古き軒端のしのぶにも
なほあまりある
昔なりけり


ながらへばまたこの頃やしのばれむ
憂しと見し世ぞ
今は恋しき


花の色はうつりにけりないたづらに
わが身世にふる
ながめせしまに


これやこの往くもかへるも別れては
知るも知らぬも
逢坂の関


難波潟みじかき芦のふしの間も
あはでこの世を
過ぐしてよとや


ほととぎす鳴きつる方を眺むれば
ただ有明の
月ぞのこれる


ながからむ心も知らず黒髪の
乱れて今朝は
ものをこそ思へ


吹くからに秋の草木のしをるれば
むべ山風を
あらしといふらむ


月見ればちぢにものこそ悲しけれ
わが身ひとつの
秋にはあらねど


瀬をはやみ岩にせかるる滝川の
われても末に
逢はむとぞ思ふ


わたの原漕ぎ出でて見れば久かたの
雲ゐにまがふ
沖つ白波


小倉山峰のもみぢ葉心あらば
今ひとたびの
みゆき待たなむ


うかりける人を初瀬の山おろしよ
はげしかれとは
祈らぬものを


山里は冬ぞさびしさ
まさりける
人めも草も
かれぬと思へば


心あてに折らばや折らむ初霜の
おきまどはせる
白菊の花


夕されば門田の稲葉おとづれて
芦のまろやに
秋風ぞ吹く


寂しさに宿を立ち出でてながむれば
いづこもおなじ
秋の夕暮


山川に風のかけたるしがらみは
流れもあへぬも
みぢなりけり


久かたの光のどけき春の日に
しづ心なく
花の散るらむ


春の夜の夢ばかりなる手枕に
かひなく立たむ
名こそ惜しけれ


もろともにあはれと思へ山桜
花よりほかに
知る人もなし


夏の夜はまだよひながら明けぬるを
雲のいづこに
月やどるらむ


白露に風の吹きしく
秋の野は
つらぬきとめぬ
玉ぞ散りける


今はただ思ひ絶えなむとばかりを
人づてならで
言ふよしもがな


夜をこめて鳥のそら音ははかるとも
世に逢坂の
関はゆるさじ


しのぶれど色に出でにけりわが恋は
ものや思ふと
人の問ふまで


恋すてふわが名はまだき立ちにけり
人知れずこそ
思ひそめしか


やすらはで寝なましものを小夜更けて
傾くまでの
月を見しかな

逢ひ見ての後の心にくらぶれば
昔はものを
思はざりけり


巡りあひて見しやそれともわかぬ間に雲がくれにし
夜半の月かな


あらざらむこの世のほかの思ひ出に
今ひとたびの
逢ふこともがな

由良のとをわたる舟人かぢをたえ
行く方も知らぬ
恋の道かな


八重むぐらしげれる宿のさびしきに
人こそ見えね
秋はきにけり


歎きつつひとりぬる夜の明くる間は
いかに久しき
ものとかは知る


明けぬれば暮るるものとは知りながら
なほ
恨めしき
あさぼらけかな


君がため惜しからざりし命さへ
ながくもがなと
思ひけるかな


かくとだにえやは伊吹のさしも草
さしも知らじな
燃ゆる思ひを


御垣守衛士のたく火の夜はもえ
昼は消えつつ
ものをこそ思へ


風をいたみ岩うつ波のおのれのみ
砕けてものを
思ふころかな


忘れじの行末までは難ければ
今日をかぎりの
命ともがな


滝の音は絶えて久しくなりぬれど
名こそ流れて
なほ聞こえけれ


あはれともいふべき人は思ほえで
身のいたづらに
なりぬべきかな


逢ふことの絶えてしなくはなかなかに
人をも身をも
恨みざらまし
 

有馬山猪名のささ原風吹けば
いでそよ人を
忘れやはする


契りきなかたみに袖をしぼりつつ
末の松山
波こさじとは


大江山いく野の道の遠ければ
まだふみも見ず
天の橋立


いにしへの奈良の都の八重桜
今日九重に
匂ひぬるかな


浅茅生のをののしの原しのぶれど
あまりてなどか
人の恋しき


忘らるる身をば思はず誓ひてし
人の命の
惜しくもあるかな


朝ぼらけ宇治の川霧たえだえに
あらはれわたる
瀬々の網代木


恨みわびほさぬ袖だにあるものを
恋に朽ちなむ
名こそ惜しけれ


人はいさ心も知らずふるさとは
花ぞむかしの
香ににほひける

誰をかも知る人にせむ高砂の
松もむかしの
友ならなくに


心にもあらでうき世にながらへば
恋しかるべき
夜半の月かな


あらし吹く室の山のもみぢ葉
龍田の川の
にしきなりけり


朝ぼらけ有明の月と見るまでに
吉野の里に
ふれる白雪


有明のつれなく見えし別れより
暁ばかり
うきものはなし


音にきく高師の浜のあだ波は
かけじや袖の
濡れもこそすれ


高砂の尾の上の桜
咲きにけり
外山の霞
たたずもあらなむ


みかの原わきて流るる泉川
いつみきとてか
恋しかるらむ


契りおきしさせもが露を命にて
あはれ今年の
秋も去ぬめり
 

名にしおはば逢坂山のさねかづら
人に知られで
くるよしもがな


このたびは幣も取りあへず手向山
紅葉にしき
神のまにまに


淡路島通ふ千鳥の鳴く声に
幾夜ねざめぬ
須磨の関守


秋風にたなびく雲の絶え間より
もれ出づる

影のさやけさ


今来むといひしばかりに長月の
有明の月
待ち出でつるかな


わびぬれば今はた同じ難波なる
身をつくしても
逢はむとぞ思ふ


思ひわびさても命はあるものを
憂きに堪へぬは
涙なりけり


きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに
衣かたしき
ひとりかも寝む


わたの原八十島かけて漕ぎ出でぬと
人にはつげよ
あまのつり舟


見せばやな雄島のあまの袖だにも
濡れにぞ濡れし
色は変らず

難波江の芦のかりねの一夜ゆゑ
身をつくしてや
恋ひわたるべき

天津風雲の通ひ路吹きとぢよ
をとめの姿
しばしとどめむ


玉の緒よ絶なば絶えねながらへば
忍ぶることの
よわりもぞする


つくばねの峰よりおつるみなの川
恋ぞつもりて
淵となりぬる

むらさめの露もまだひぬまきの葉に
霧立のぼる
秋の夕暮


陸奥のしのぶもぢずり誰ゆゑに
乱れそめにし
われならなくに

なげけとて月やはものを思はする
かこち顔なる
わが涙かな


君がため春の野に出でて若菜つむ
我が衣手に
雪はふりつつ


立ち別れいなばの山の峰に生ふる
まつとしきかば
今かへり来む


夜もすがらもの思ふ頃は明けやらで
ねやのひまさへ
つれなかりけり


住の江の岸による波よるさへや
夢の通ひ路
人目よくらむ


世の中よ道こそなけれ思ひ入る
山の奥にも
鹿ぞ鳴くなる


わが袖は潮干にみえぬ沖の石の
人こそ知らね
乾く間もなし


みよし野の山の秋風小夜ふけて
ふるさと寒く
衣うつなり


かささぎのわたせる橋におく霜の
白きを見れば
夜ぞふけにける


おく山に紅葉ふみわけなく鹿
声きく時ぞ
秋はかなしき

来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに
焼くや藻塩の
身もこがれつつ


風そよぐならの小川の夕暮は
みそぎぞ夏の
しるしなりける


春過ぎて夏来にけらし白妙の
衣ほすてふ
天の香具山

秋の田のかりほの庵のとまをあらみ
我がころも手は
露にぬれつつ


千早ぶる神代もきかず龍田川
からくれなゐに
水くくるとは


世の中は常にもがもな渚こぐ
あまの小舟の
綱手かなしも
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I
J
北東 北西