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(ふじわらのきよすけあそん)
<1108年~1177年> |
79番・藤原顕輔(あきすけ)の次男ですが、親子ながら不和だったそうです。才能に恵まれながら挫折の多い人生でしたが、歌道の名家六条藤家の3代目となりました。歌会のやり方、作法、有名歌人の逸話など、歌の百科全書ともいえる「袋草紙(ふくろぞうし)」を完成させたことで、王朝歌学の大成者といわれています。御子左家の83番・藤原俊成に並び称されました |
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『新古今集』雑・1843 |
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この先もっと長く生きていれば、この頃の辛さも懐かしく思い出されるのだろうか。辛いと思っていた昔も、今は恋しく思われるのだから。 |
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「新古今集」には「題しらず」で採られていますが、家集「清輔集」の詞書には「いにしへ思ひ出でられけるころ、三条内大臣いまだ中将にておはしける時、つかわしける」とあり、人に贈った述懐(じゅっかい)歌です。過去の辛かった思い出も今は懐かしいのだから、きっと今の辛さも、生きていれば、将来懐かしく思えることがあるだろうと、自分を慰める気持ちを詠んだものなのです。初句で未来、二句で現在、三句で未来、四句で過去、結句で現在と、人生を諦観した歌だといえます。苦しみも悲しみも時の流れが思い出に変えてくれる。時代を超えて、誰にでも共感できる人間の心理をうまくとらえています。「憂し」「見し」「恋しき」の「し」音の穏やかな調べに、未来へのかすかな希望が託されているようです。原典は中国の詩人・白楽天の詩文集「白氏文集(はくしもんじゅう)」の「老色日上面 歓情日去心 今既不如昔 後当不如今」(老いの色が、日々顔に現れ、喜びの情も日々心を過ぎ去っていく。今は、昔ほどのものではないが、後には今より良くなることはないだろう)ではないかと言われています。 |
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【永(なが)らへば】
動詞「ながらふ」の未然形に接続助詞「ば」がついて、「もし~なら」という仮定を示します。「この世に生き長らえるなら」という意味です。
【またこの頃(ごろ)や しのばれむ】
「や」は疑問の係助詞です。「しのば」は動詞「しのぶ」の未然形で、「懐かしく思い出す」という意味。「れ」は自発の助動詞「る」の未然形で、「む」は推量の助動詞「む」の連体形です。
【憂(う)しと見し世ぞ 今は恋しき】
「憂(う)し」は形容詞の終止形で「辛い、苦しい」という意味です。「見し」の「し」は過去の助動詞「き」(実際の体験の回想)の連体形です。「恋しき」は形容詞「恋し」の連体形で、係助詞「ぞ」の係り結びです。全体では「辛いと思っていたあの当時も今では恋しく思い出されるなあ」という意味です。 |
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●この歌は中国の詩人・白楽天の詩文集「白氏文集(はくしもんじゅう)」の中の「東城に春を尋ぬ」と題する有名な漢詩によったものです。※白楽天の絵 |
●この歌は人に贈った述懐(じゅっかい)歌です。述懐歌とは、自分の不遇や老い、無常への嘆きを詠みこむことで願いを表現する和歌です。※清輔の人形 |
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●この歌を贈った人物については2説あります。清輔(きよすけ)のいとこ、三条内大臣藤原公教(きんのり)とすると、清輔が30歳前に詠んだ歌となります。幼い頃から不仲な父との争いに疲れ切った心境が歌の背景にあるように考えられます。
●また、三条大納言藤原実房(さねふさ)とすると、清輔が50歳~60歳前の歌となります。兄弟の官位昇進の問題、父との和解と死、二条院崩御によって「続詞花集」が勅撰集とならなかったことなどが歌の背景として考えられます。 |
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● 79番・藤原顕輔(あきすけ)の次男ですが、父からは愛されず不仲だったという逸話が残っています。才能に恵まれながらも、何かと挫折の多い人生でした。 |
●小倉百人一首の編纂の舞台となった嵐山・嵯峨野では、100基の歌碑めぐりを楽しめます。「ながらへば」の歌碑は、寂光寺と二尊院の間の長神の杜公園にあります。 |
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