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百人一首秘話

魔方陣に仕組まれたしかけ

 太田明さんが作り上げた10×10魔方陣に込められた意味はどんなものでしょうか。ここでは、その一部を取り上げます。
 
1 内部8×8の64首の配列に込められた仕掛け
        
  → 共通する語句が1箇所に集中する。
   できあがった10次魔方陣を見て確認してみましょう。(簡略版はこちら)
       

 ①月の連鎖 <下部 中央>    ※最初のアルファベットと数字の組は魔方陣の左側と上側にある座標を示します
 H5 31 朝ぼらけ有明の月と見るまでに 吉野の里にふれる白雪
 H6 30 有明のつれなく見えし別れより 暁ばかりうきものはなし
 I6 79  秋風にたなびく雲の絶え間より もれ出づるの影のさやけさ
 I7 21 今来むといひしばかりに長月の 有明の月を待ち出でつるかな

 ②月につづいて 「わび」でつなぐ
 I8 20 わびぬれば今はた同じ難波なる 身をつくしても逢はむとぞ思ふ
 I9 82 思ひわびさても命はあるものを 憂きに堪へぬは涙なりけり

 ③人の連鎖 <中央やや下 中央>
 F5 54 儀同三司母 の下に
 G5 39 参議 等   「儀同三司・参議」は太政官の官名(儀同が上
 G6 38 近     (参議の隣にいる)

 ④「見えない」こと・「三」つながり <中央やや下 やや左>
 G3 60 大江山いく野の道の遠ければ まだふみも見ず天の橋立
 H3 68 条院 上G3に「文もみず」の詞 三条院は目が見えなかった。
 H4 69 「室の山」の詞
 I3 25 条右大臣

 ⑤「恨み」つながり <中央 右寄り>
 E8 52 明けぬれば暮るるものとは知りながらなほ恨めしきあさぼらけかな
 F8 44 逢ふことの絶えてしなくはなかなかに 人をも身をも恨みざらまし
 G8 65 恨みわびほさぬ袖だにあるものを 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ

 ⑥「ひさかたの」つながり <上部 右寄り>
 B8 76 わたの原漕ぎ出でて見れば久かたの 雲ゐにまがふ沖つ白波
 C8 33 久かたの光のどけき春の日に しづ心なく花の散るらむ

 ⑦「逢うこと」つながり <中央部 左寄り>
 E2 43 逢ひ見ての後の心にくらぶれば 昔はものを思はざりけり
 E3 57 巡りあひて見しやそれともわかぬ間に雲がくれにし夜半の月かな
 E4 56  あらざらむこの世のほかの思ひ出に 今ひとたびの逢ふこともがな   





















1 外部1周の36首の配列に込められた仕掛け
       →対称の位置(A1とJ1、A2とJ2など)にある和歌番号の和は101
      →内側(64首)と外側(36首)との橋が4つある。

 ①都の巽に住む喜撰法師(8)    最初のアルファベットと数字の組は魔方陣の左側と上側にある座標を示します
  ・巽とは(南東)の方角、図の下が北なので、右上の角にある。
 A1 8喜撰法師 我が庵は都のたつみ鹿ぞすむ 世を宇治山と人はいふなり
    実は百人秀歌の8
 猿丸太夫(5)  おく山に紅葉ふみわけなく鹿の 声きく時ぞ秋はかなしき

 鹿は巽の方向にいる。俊成に「鹿」を導く道因法師(橋1)
 I10  俊成(83)  世の中よ道こそなけれ思ひ入る 山の奥にも鹿ぞ鳴くなる
 I9  道因(道に因(つな)がる) (→道案内をする)

 ③「世の中」つながり <下部 右端>
 I10 83 世の中よ道こそなけれ思ひ入る 山の奥にも鹿ぞ鳴くなる
 J10 93 世の中は常にもがもな渚こぐ あまの小舟の綱手かなしも

 ④「ぬれた衣」つながり <下部 左端>
            <ここでは、百人秀歌とのつながりにも着目>
 I1 秀歌18→ 15 君がため春の野に出でて若菜つむ 我が衣手に雪はふりつつ
 I2 秀歌75→ 65 恨みわびほさぬ袖だにあるものを 恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ
 J1 92 わが袖は潮干にみえぬ沖の石の 人こそ知らね乾く間もなし

 ⑤「濡れる」つながり <下部 右より>
 J8 1 秋の田のかりほの庵のとまをあらみ 我がころも手は露にぬれつつ
 J9 17 千早ぶる神代もきかず龍田川 からくれなゐに水くくるとは
 I9 82 思ひわびさても命はあるものを 憂きに堪へぬは涙なりけり (浮きに絶えぬ→水をくぐる
 I8 20 わびぬれば今はた同じ難波なる 身をつくしても逢はむとぞ思ふ

 ⑥難波潟に戻りたかった仲麻呂(遣唐使として唐にわたったが帰国できなかった)<上部 左寄り>
 A2 7(阿倍仲麻呂)天の原ふりさけ見れば春日なる 三笠の山に出でし月かも
 B2 19 難波潟みじかき芦のふしの間も あはでこの世を過ぐしてよとや

 ⑦瀬戸内海をまたいで(橋2) <下部 中央部> →外36首と内64首の間に瀬戸内海
 I6 78 淡路島通ふ千鳥の鳴く声に 幾夜ねざめぬ須磨の関守
 J6 97(定家)来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに 焼くや藻塩の身もこがれつつ (まつほの浦は四国)

 ⑧「松」の三首(橋3) <左端 下寄り>
 G2 42 契りきなかたみに袖をしぼりつつ 末の松山波こさじとは
 H1 16 立ち別れいなばの山の峰に生ふる まつとしきかば今かへり来む
 H2 34 誰をかも知る人にせむ高砂の もむかしの友ならなくに

 ⑨流された天皇(橋4) <上部 やや左寄り>
 A7 99 後鳥羽院 人も惜し人も恨めしあぢきなく 世を思ふゆゑにもの思ふ身は
 A8 100 順徳院 百敷や古き軒端のしのぶにも なほあまりある昔なりけり
 B7 77 崇徳院 瀬をはやみ岩にせかるる滝川の われても末に逢はむとぞ思ふ
 百人一首秘話、いかがでしたか。定家や為家は、この他にも秘密を隠しているかも知れません。
「かるたとり」ゲームだけでなく、その時代の選者の意図にもふれてみてください。