古今伝授とは、簡単に言うと「和歌の秘伝を伝える歌道伝授」のことです。太田明さんによると、これが百人一首の選歌や仕掛けに大きく影響しているそうです。 |
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古今伝授の由来 | 最初の勅撰集『古今和歌集』は、和歌を学ぶための基本として尊重され、歌道では特別な扱いを受けました。その解釈等は師から弟子に相伝されるようになり、形式が整備されたものを「古今伝授(伝受)」と呼びます。一般には、15世紀後半東常縁とうのつねよりから宗祇への伝授がはじめとされています。後世の形によると、他言しないという誓紙を提出、師の講義を聴講筆記し、特に重要とされる難語の解釈は切紙に書かれ、ものものしい儀式によって伝授されました。最後に師の認可証明を受ける。有名な「三木三鳥(さんぼくさんちょう)」をはじめ、いろいろの秘伝があったようです。しかし、このような伝授は、閉鎖的、荒唐無稽として、江戸時代の国学者に厳しく批判されました。『源氏物語』『伊勢物語』など他の古典に関しても、秘説の伝授が行われています。 | |
古今伝授の内容 | 古今和歌集3鳥(喚子鳥・百千鳥・稲負鳥) 古今和歌集7首の秘歌 三木(御賀玉木・河菜草・めどに削り花) 一首十躰 一首五躰 木綿袴の歌 |
歌のとまり字の口伝 詠歌制の詞の香典 百人一首五歌の口伝 百人一首他流の口伝 伊勢物語7個の口伝 徒然草3個の口伝 |
三木三鳥 | 古今集にある「をがたまの木」「めどにけづり花」「かはなぐさ」の三つの植物名と、「稲おほせ鳥」「呼子鳥」「百千鳥」の三つの鳥名です。古今伝授では、例えば三木を三種の神器や正直、慈悲など三つの徳目に当てはめるなどの解釈がなされました。 | |
五箇の和歌 | 二条派…忠岑(30)、人麿(3)、仲麿(7)、喜撰(8)、定家(97) 冷泉派…忠岑(30)、家持(6)、忠通(76)、実朝(93)、経信(71) ( )番号は百人一首での和歌番号;分家により伝わり方が違っています。 |
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百人一首で使われた古今伝授 | 三鳥の口伝から ■百千鳥(ももちどり) →百+千鳥式(番号を己字の型に配列していく方式) ■ 呼子鳥(よぶこどり) → 子を呼ぶのは母、ハハ→8×8 百首を(8×8=)64首と36歌仙を含む36首に分けよということ ■稲負鳥(いなおおせどり) →稲負→ 持ち米 → 餅 → くっつく →36+64 <結論> 1~18、83~100までを除いた64首(呼子鳥)を内側の8×8の魔方陣に組み、そこに百千鳥(ももちどり)に寄って組まれた外側の対(1と100、2と99等)を稲負鳥(いなおおせどり)によってくっつける 「三木は三鳥より重し」 三木(御賀玉木、河菜草、めどに削り花) ●河菜草(かわなくさ) 河菜草は「火を除く徳ある草」→さしも草(51)とさせも草(75) 火(もぐさ)を取り除くと「さし」「させ」 →「かわなくさ」の、「さ」を「し」に、「さ」を「せ」にすると、「かわなくし」「かわなくせ」」 →「『か』は無くせ」 ●御賀玉木(おがたまのき) →「おがたまのき」から『か(が)』を無くすと「おだまき」 →「しづのおだまき」「伊勢物語で静御前が詠った和歌を暗示する 「いにしへの しづのおだまき くりかえし 昔を今になすよしもがな」(はるか昔の倭文(しず)の糸巻きのように、昔を今にもどす手立てがあればよいですが) ●めどに削り花(めどにけずりばな) →「めどにめずり、花させる」→めど萩の茎を削って、数を数えることに使用する。 →中国殷王朝の時代の「洛書(亀の甲に書かれた三次魔方陣」を示す →魔方陣に秘密を隠した? |
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<解説> 大田明さんはこの古今伝授の暗示を使って、百人一首の番号や和歌に含まれることば、選ばれた歌人のつながりを読み取り、10次(10×10)魔方陣を見つけたようです。 |