石 巻
陰暦  5月10日
(6月26日)
 十二日、平泉と心ざし、あねはの松・緒だえの橋など聞き伝へて、人跡稀に雉兎・蒭蕘の行きかふ道、そこともわかず、終に道ふみたがへて、石の巻といふ湊に出づ。「こがね花咲」とよみて奉りたる金花山海上に見わたし、数百の廻船入江につどひ、人家地をあらそひて、竈の煙立つづけたり。思ひかけずかかる所にも来れるかなと、宿からんとすれど、更に宿かす人なし。やうやうまどしき小家に一夜をあかして、あくればまたしらぬ道まよひ行く。袖のわたり・尾ぶちの牧・真野の萱原などをよそめにみて、 遙かなる堤を行く。心細き長沼にそうて、戸伊麻といふ所に一宿して、平泉に到る。その間廿余里ほどとおぼゆ。  朗 読


止
 12日、平泉へ向かおうと決めて、歌枕として有名なあねはの松や緒だえの橋などがあると伝え聞いて行ったところが、人の足跡もまれで、猟師やきこりなどが行き交うだけのひどい道で、どこがそれともわからないで、とうとう道を間違えて、石巻という港に出てしまった。「こがね花咲く」と昔の人が詠んで天皇に奉った金華山を、海上遠くに見渡してみると、数百の回船が湾の中に集まり、人家が土地を取り合うようにして隙間なく立ち並んで、竈から出る炊事の煙が一面に立ちのぼっている。思いもよらずこんな場所に来てしまったものだなあと、宿を借りようとするが、まったく宿を貸す人はない。やっとのことで貧しい小さい家に一夜を泊めてもらって、夜が明けると再び見知らぬ道を迷いながら行く。袖の渡りや尾ぶちの牧、真野の萱原などの歌枕の場所を横目に見ながら、はるかに続く北上川の土手の上を行く。心細く見える長い沼に沿って進み、戸伊麻というところに1泊して、平泉に到着した。その間は20里余りと思われた。

 
 ※ 現代語訳 土屋博映中継出版「『奥の細道が面白いほどわかる本 」中経出版の超訳より
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