陰暦 6月 3日
(7月19日) |
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六月三日、羽黒山に登る。図司左吉といふ者を尋ねて、別当代会覚阿闍梨に謁す。南谷の別院に舎して、憐愍の情こまやかにあるじせらる。
四日、本坊において俳諧興行。
有難や雪をかをらす南谷
五日、権現に詣づ。当山開闢能除大師は、いづれの代の人といふ事をしらず。延喜式に羽州里山の神社とあり。書写、黒の字を里山となせるにや。羽州黒山を中略して羽黒山といふにや。出羽といへるは、鳥の毛羽をこの国の貢ぎに献ると風土記に侍るとやらん。月山、湯殿を合はせて三山とす。当寺武江東叡に属して、天台止観の月明らかに、円頓融通の法の灯かかげそひて、僧坊棟をならべ、修験行法を励まし、霊山霊地の験効、人貴かつ恐る。繁栄長へにして、めでたき御山と謂つつべし。
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