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露通もこの港まで出迎えてくれて、美濃の国へと連れ立って旅立つ。馬の力を借りて大垣の町に入ると、曾良も伊勢からやってき合わせ、越人も馬を飛ばしてやってきて、みんな如行の家に集まった。前川子や荊口親子、そのほかにも親しい人々は昼も夜もなく訪ねてきて、私が一度死んで生き返ったように、一方では喜び、一方ではいたわったりしてくれる。旅のなんとなく重い気分がまだ抜けやらないうちに、九月六日になるので、近づいた伊勢の遷宮を拝もうと、再び舟に乗って、
蛤のふたみにわかれ行く秋ぞ
<蛤が蓋と身に分かれるように、私は親しい人々と別れて二見を見にいこうとしている。季節も秋の終わりで、寂しさがいっそう募ることだ。>
※ 現代語訳 土屋博映中継出版「『奥の細道が面白いほどわかる本 」中経出版の超訳より |