小宰相
(こざいしょう)
<登場する章段>

9の9・19
 <プロフィール>
父は参議藤原為隆(ふじわらのためたか)の子・憲方(のりかた)の二女。上西門院(しょうさいもんいん:後白河天皇の同母姉・統子)の女房で、宮中一の美女とうたわれた。平通盛(教経の兄)に見初められ、妻となる。寿永三年(1184年)、一ノ谷の戦いで夫の通盛が討死したことを従者から知らされ、身重であったが入水した。
<エピソード>
大勢が夜更けの海に降りて探し、ようやく小宰相の体を引き上げたが、かすかに通っていた息も絶えたので、乳母は通盛の鎧(よろい)を亡骸(なきがら)に結びつけて、泣く泣く海に沈めて葬った。その後、乳母は出家して、通盛と小宰相の菩提(ぼだい)を弔(とむら)った。「建礼門院右京大夫集(けんれいもんいんうきようのだいぶしゅう)」には、夫の死の後を追ったことが「これまでにない契(ちぎり)の深さよ」と京都でも評判になったと記されている。
 <名言> 生没年 1164〜1184.3.27
あかで別れしいもせのなからへ、必ず一つ蓮にむかへ給へ
<意味>
まだ飽きないうちに別れた仲の私ども夫婦を、必ず同じ蓮の上にお迎えください。
泣きながら念仏を唱え小宰相は夜の海に身を投げた。
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