神路山
(かみじやま)
場所

伊勢神宮内宮の南方の山
関係歌・作者
●「神路山 月さやかなる 誓ひありて 天の下をば 照らすなりけり」(神路山の月は清らかであるが、天照大神(あまてらすおおみかみ)が万民をお救いになるという誓いがおありになって、天下を照らしておられると思われることだ。「新古今集」86番・西行法師
●「深く入りて 神路のおくを 尋ぬれば また上もなき 峰の松風」(大神宮の神霊の鎮まっていらっしゃる神路山の、その奥に入って聞いた峰の松風であるよ。「千載集」西行法師は伊勢神宮の奥にある神路山に登ったのでしょう。)
●「ながめばや 神路の山に 雲消えて 夕べの空を 出(い)でん月影」(しみじみと見入りたいものだ、神路の山に雲が消えて、夕方の空を出てくるはずの月の光を。「新古今集」99番・後鳥羽院。内宮三十首の中の作)
●「照らすらん 神路の山の 朝日かげ あまつ雲居を のどかなれとは」(97番・藤原定家
由来
 内宮の背後にある山で、古くから神宮の社殿の用材の檜(ひのき)を伐り出す山として神聖視されていました。神祇(じんぎ)歌によく詠まれています。神路山に照る清い月を、天皇の威光の象徴として詠んだり、神の威光に対する感動を詠んだりしました。