斎宮
(さいくう)
場所

多気郡明和町斎宮
関係歌・作者
●「呉竹の よよの都と 聞くからに 君が千年は うたがひもあらじ」(ここは呉竹のように代々続いている多気の都と聞きますから、宮様のご長命は疑いもありません。「大和物語」27番・藤原兼輔が、斎宮に到着した柔子内親王を励ました歌です。)
●「
伊勢の海に 舟を流して 潮垂(しほたる)る 海人を我が身と なりぬべきかな」※伊勢に解説。
●返歌「
伊勢の海の 海女のあまたに なりぬらむ われも劣らず しほ垂るれば」※伊勢に解説。
●「
伊勢の海の 千尋の浜に 拾ふとも 今は何てふ かひがあるべき」※伊勢に解説。
●「
大淀の 浦に立つ波 かへらずは 松の変わらぬ 色を見ましや」※大淀に解説。
●「
常盤なる 竹の都の 石なれば うれしきふしを 数えいぞやる」(常緑の竹のように永遠に続く竹の都(斎宮)の石ですから、竹の節々のように嬉しいふし(兆し)を数えながら取っていくのです。「散木寄歌集」74番・源俊頼。斎宮を訪れた俊頼が、女官たちと「石名取りの石合せ」という歌合をした時の歌です。)
●「
君や来し われやゆきけむ おもほえず 夢かうつつか 寝てかさめてか」(あなたがおいでになったのか、私がうかがいましたのか、はっきりしません。いったいこれは夢でしょうか、目覚めてのことでしょうか。「伊勢物語」一夜を共にした翌朝、斎宮から17番・在原業平に贈られた歌です。)
●返歌「
かきくらす 心の闇に まどひにき 夢うつつとは こよひさだめよ」(悲しみに真っ暗になった私の心は、乱れに乱れて、分別もつきませんでした。夢か現実かは、今晩おいでくださって、はっきりお決めください。「伊勢物語」17番・在原業平から斎宮への返歌です。)
●「
いつかまた いつきのみやの いつかれて しめの御内に 塵(ちり)を払はん」(いつかまた斎王が神に奉仕し、神聖な御内(斎宮)の中の塵を払われることがあるのだろうか。「山家集」源平の騒乱期に、斎宮を訪れた86番・西行法師が、その荒れ果てた姿を嘆いた歌です。その頃、15年も斎王が不在であったそうです。)  
由来
 斎王とは国の平安と繁栄のため、都を離れ、伊勢神宮の天照大神に仕えた未婚の皇族女性のことです。 神に仕える身であるため、恋愛は禁じられていました。恋ゆえに斎王を解任されたり、恋人と引き裂かれたりという悲話も多く伝えられています。斎王が暮らした地、斎宮の歴史の道には斎宮に関わる24首の歌碑があります。